2010年10月3日日曜日

糖尿病について良く知ってください

知識を深め、病気を理解することは糖尿病治療においてとても大事なことです。漫然と医師に言われるままに薬を飲んでいるだけでは理想の治療であるとは言えません。



孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」とあります。敵のことと自分のことをよく研究して戦いに挑めば負けることなどないといった意味です。

私は病気と闘うという表現は糖尿病においてはあまり相応しくないと考えていますが、うまく付き合っていく上でも相手と自分のことをよく知るのは大事なことだと思います。



ここでは主に2型糖尿病について扱っていますが、厳密には糖尿病は大きくわけて以下の4種類に分類出来ます。



  • 1型糖尿病:なんらかの原因で膵臓の機能が失われ、インスリンが分泌されなくなる疾患です。
  • 2型糖尿病:ここで主に扱っている疾患です。糖尿病全体のうちほとんどはこれに当たります。
  • 妊娠糖尿病:妊娠によってホルモンのバランスなどが変化することで発症する疾患です。
  • その他特定の機序、疾患によるもの:他の疾患(膵臓腫瘍など)から二次的に起こるものや、他の疾患のために服用した薬(喘息治療のためのステロイドなど)の副作用によるものなどがあります。



インスリンという言葉は聞いたことがあるという方も多いかと思います。インスリンとはもともと人間の体内に存在するホルモンの一種であり、糖尿病治療における非常に有効な薬であり、糖尿病を理解するための重要なキーワードです。ここではインスリンが体内でどのような働きをするかを主に述べます。薬としてのインスリンについてはまた別の機会に。

インスリンは膵臓という臓器から分泌されます。主な作用は糖の代謝、タンパク質の合成、脂肪の合成などです。厳密には他にもたくさんの作用がありますが、ここでは糖の代謝だけ覚えてください。糖の代謝とはすなわち血糖をエネルギーに変換し、血糖を下げるということです。

人間の身体は非常によく出来ています。体温が常に一定に保たれているように、血糖も本来一定に保たれています。それは膵臓が血糖値を感知し、高い時にはインスリンを分泌を増やし、低い時にはインスリンの分泌を減らすことで常に調節しているからです。

したがって血糖値が上がるような生活習慣を続ければ血糖値を下げようとして膵臓に負担がかかることになります。ちょっとぐらいの血糖上昇は膵臓の機能がカバーしてくれますが、それがずっと続き、膵臓の負担が限界に達したときに糖尿病が発症するのです。

糖尿病の原因は様々ですが、主に生活習慣の乱れ、過食、運動不足、ストレス、遺伝などが挙げられます。前述したように、糖尿病という病気の本質は、血糖値の上昇が膵臓機能でカバーできる限界を上回ったということです。


  • 過食→不必要な糖分を取りすぎると、それを処理するためにインスリンが必要になり膵臓に負担がかかります。
  • 運動不足→運動によって消費されるカロリーが少なくなるため、やはり糖分を処理するために膵臓に負担がかかることになります。また運動不足だと筋肉などの組織でインスリンが効きにくくなるため、より多くのインスリンが必要になり、さらに膵臓の負担が増すことになります。
  • ストレス→ストレスによって分泌されるホルモンの中にはインスリンと全く逆の作用(血糖値を上げる作用)を持つものがあります。これに対抗するためにやはり膵臓に負担がかかることになります。
  • 遺伝→ある種の遺伝子があると糖尿病になり易いことがわかってきています。親兄弟に糖尿病の方がいる場合はご本人も糖尿病になる可能性が高いという統計もあります。
こうして見ると遺伝的な原因もありますが、多くは生活習慣によるものだということがわかります。生活習慣病と呼ばれる所以です。

また、とにかく膵臓に負担がかかりすぎていることに注目してください。1日や2日、あるいは1ヶ月、2ヶ月の生活習慣の乱れでも糖尿病が発症することはありません。それぐらい膵臓の機能は強いのです。しかし何ヶ月も何年も乱れた生活習慣を続けていると膵臓は疲弊し、ついには高血糖を抑えられなくなって糖尿病を発症することになります。

0 件のコメント:

コメントを投稿