2011年4月14日木曜日

直接トロンビン阻害剤「プラザキサ」

直接トロンビン阻害剤「プラザキサ」(一般名ダビガトラン)

1962年のビタミンK阻害剤(ワーファリン)発売以降、心房細動患者に対する脳卒中・全身性塞栓症の予防薬として有効な抗血栓薬が登場していなかったが、このたび直接トロンビン阻害剤であるプラザキサが発売となった。

血液凝固系におけるトロンビンの生理作用および各抗血栓薬のターゲット
ワーファリン
・トロンビンの前駆体であるプロトロンビンの合成を、その律速酵素であるVK依存性カルボキシラーゼの補酵素であるVKを阻害することで抗血栓作用を発揮する。
・このため多量のVKの摂取でその作用は拮抗される。(納豆などは控える必要がある)
・肝薬物代謝酵素P450による代謝を受け失活する。このため薬物相互作用が多い。
・またP450の活性は個人差があるため個々の患者に応じた用量調節が必要となる。(PT-INRの頻回測定)



プラザキサ
・トロンビンの活性部位に直接結合することで抗血栓作用を示す。
・このためVKの多量摂取で効果が阻害されることはない。
・肝薬物代謝酵素による代謝を受けないので、細かい用量調節は不要である。ただし腎排泄薬物なので、中等度以上の腎障害がある患者には減量の検討が必要。
・肝薬物代謝酵素を介した薬物相互作用は無いが、P糖タンパク質による排泄を受けるので、P糖タンパク質を阻害する薬剤と相互作用が認められる。(ワソラン、アンカロン、キニジンなど)



有効性

ワーファリン(INR2.0-3.0、日本人の70歳以上は2.0-2.6でコントロール)の集団と比較し、プラザキサ低用量(110mg×2回/日)で非劣性、高用量(150mg×2回/日)で優越性が示された。







安全性


頭蓋内出血の発生頻度はプラザキサ低用量、高用量ともにワーファリンと比較して優位に低かった。
ただし消化器系の副作用(消化不良、下痢、上腹部痛など)がワーファリンより高頻度に認められた。






まとめ
・プラザキサはワーファリンと比較してVKの摂取制限が必要ない、頻回の血液検査や細かい用量調節が必要ない、などの点で優れている。
・プラザキサは臨床試験でワーファリンに対する優越性を示したが、これは二重盲検方ではない。
・プラザキサはワーファリンとは異なる機序の薬物相互作用が存在する。
・新規に抗血栓療法を開始する場合、プラザキサはワーファリンと同等かそれ以上に有効な薬剤と考えられる。
・ワーファリンで有効なコントロールが得られている患者に対してあえて切り替える必要があるかは意見の別れるところである。